ロボット作り教室のご招待
京都大学名誉教授 田中良和先生からのメッセージ
近年の電子技術の進展には目を見張るものがあります。家電製品には小型の電子機器(マイコン)が組み込まれ、携帯電話はもとよりスマホやタブレット端末が当たり前の時代になり、子供らは特に教えなくともこれらの電子機器を操っています。パソコンやスマホに語りかけると資料を検索し、拙いながらも翻訳までやってくれます。人工知能も進歩して、車の自動運転や介護ロボットなども実用化されつつあります。急速に進展する技術革新の流れの中で、単にユーザーとして利益を享受するだけでなく、これらの技術がどのような仕組みで機能しているのかを理解することは大切です。
この教室では中学生を対象に、汎世界的な「ロボカップジュニア」のサッカー競技(RCJ)に参加できる自立型ロボットの製作を通して、メカトロニクスの仕組みを学習します。この競技は車輪の付いた台車(自立ロボット)を選手に見立てて、赤外線パルスを発する球を相手のゴールに押し込むものです。
ロボットには、頭脳となるコンピュータ、足になるモーター付き車輪、ボール位置を見る赤外光センサー、コート境界を認識するラインセンサーや超音波距離計、ゴール方向を知る磁気方位計、電池などの電子機器が必要です。
最近では、電子部品や機構部が高機能・高密度になり、半田付けには高度な技術が要求されます。たとえ設計図が入手できても、生徒が部品を買い集めて作ることは時間的にも技術面でも極めて困難です。また、操作するためのソフトも開発しなければなりません。このため、初級コースでは、講師が設計・配線したモジュールを提供して時間効率を高め、12月に行われるRCJ競技にも参加できるように教程を組んでいます。
モジュールの構造や機能は関連のソフトウエアーに合わせて学習し、特性を計測することで理解を深めます。モジュールは汎用部品を用いて個別機能を把握できるようにしてありますから、必要に応じてグレードアップが可能です。
ロボットの頭脳となるマイコンはArduinoと呼ばれるソフトウエアー(C言語の一種)で動かします。雛形のプログラムは提供しながら、解説を行います。記述された内容を理解することは容易ですが、各部品の能力を最大限に活用して総合的なプログラムを書くには作文と同程度の技量が必要です。じっくりと、習熟度に応じて各自で改良出来るようになる事を期待しています。